今月のキーポイント
2010年度診療報酬改定にこめられたメッセージ(下)
今後の改定に向けては医療機関の地域特性を配慮した制度設計が重要な焦点に
「2010年度診療報酬改定」の診療所に関する新機軸について触れたい。民主党政権は入院の引き上げ財源に4400億円を配分したが、外来は400億円に留まっている。今回の改定が、病院と比較して「外来がメインの診療所には非常に厳しい」改定と言われる所以だ。 ・・・もっと見る
2010年度診療報酬改定にこめられたメッセージ(上)
病院医療に対する基本コンセプトは勤務医の負担軽減とチーム医療の追求
中医協が2月12日に開催され、2010年度診療報酬改定を答申した。次回改定の告示は3月中旬に予定され、今年4月に実施される診療報酬改定の全貌がほぼ明らかになった。周知のように今回は10年ぶりのプラス改定(全体で+0.19%)。外来の約400億円に対して急性期入院医療に約4000億円の予算が重点配分され、医科全体の+1.74%のうち、入院+3.03%、外来+0.31%と明らかに「急性期病院に手厚く、無床診療所に厳しい」内容となっている。 ・・・もっと見る
トップの実行力・職員の熱意で病院が大きく"CHANGE"1
地方民間病院の取り組みに学ぶ例を見ない「創造的経営」の実践とは?
昨年度は2006年・過去最大の診療報酬マイナス改定(-3.16%)がボディブローのように効き始め、医療法人倒産件数は過去10年間で最多の数字を更新した。筆者は民間医療機関の院長(医療法人の理事長)にお目にかかる機会が多いが、厳しい医療経営環境もあってか、「医療費抑制政策が続いて経営が苦しい」、「良いスタッフがいない」、「事務長にリーダーシップがないから組織が停滞する」等の嘆息がよく聞かれる。ただ実際には病院長(理事長)の周囲よりも、病院長自体に原因があって、経営が沈滞していると思われる医療機関も少なくない。 ・・・もっと見る
どうなる?診療所経営 注目すべきは有床診療所の動向
機能分化・再編に向けて機能別診療報酬を導入か!
厚生労働省より「2008年度医療施設調査」の概況が、このほど発表された。それによると08年10月1日現在の歯科を除く一般診療所(有床・無床含む)の数は9万9083施設で、07年度よりも449施設減少したことが明らかになった。一般診療所数は1999年の9万1500施設から9万4819施設(02年)→9万7442施設(05年)→9万8609施設(06年)→9万9532施設(07年)と一貫して増加傾向で推移してきたが、今回の調査結果では久しぶりに、「減少」へと転じたことになる。近年、続いてきた開業ラッシュに、“陰り”の兆しが見えてきたのだろうか? ・・・もっと見る
「民間病院主導」による地域医療の冒険
地方小都市に見る広域医療連携のカタチ トップの「情熱」で“顔の見える連携”を実現
筆者は先日、岡山県真庭市を訪れて、同市に在る特定医療法人緑壮会・金田病院(177床)を取材し、金田道弘理事長にお話を伺う機会を得た。地方都市で医師不足・看護師不足、救急医療の廃止等による医療崩壊が顕在化する中、民間病院主導による「広域医療連携」の一つの試みとして非常に興味深いケースと思われたので、ここでご紹介させて頂く。 ・・・もっと見る
公立病院の赤字経営を救う道
慢性的赤字で苦しむ公立病院建て直しは社会医療法人の「経営力」に期待
筆者は最近、ある雑誌の仕事で兵庫県内の某公立病院を取材したのだが、この病院は院長の経営手腕により、様々な経営改革に着手。短期間で慢性的赤字体質から脱却し、黒字に転換したという触れこみだった。平成19年度のバランスシートを見せて頂いたのだが、ただ実際には、医業収益の合計から費用合計を差し引いた結果は、9億円以上のマイナス。要するに一般会計から10億円以上の繰入金が投入され、その結果、5000万円程度の当期純損益が計上されたという形だ。公的病院では大概の場合、一般会計からの赤字補てん、すなわち繰入金を投入した収支プラスを、「黒字経営」と称しているのだ。 ・・・もっと見る
未収金の実態と対策
組織的に未収金を「発生させない」仕組みづくりが肝要 外国人・ホームレス無保険者対策も急務の課題
今年1月の厚生労働省の発表によると、自営業者や無職の人が加入し市区町村が運営する国民健康保険(国保)で保険料を滞納した世帯が、08年6月1日時点で453万455世帯にも上った。国保加入世帯は同時点で2171万7837世帯と前年比では14.9%(379万409世帯)減少しているが、これは同年4月から75歳以上の国保加入者が「後期高齢者医療制度」に移行したことが原因。加入世帯に占める未納者の割合は20.9%と過去最悪、5世帯に1世帯が滞納している計算だ。 ・・・もっと見る
社会医療法人病院の現在
公共性・透明性の担保により経営が悪化した公的病院の「救世主」となるか!
07年の第五次医療法改正で創設された社会医療法人制度は、08年4月1日以降から都道府県での認定がスタートし、今年4月現在で28都道府県・55法人が承認を受けた。その内訳を見ると東京都では未だ1法人の認定しかない一方で、大阪府は7法人と最も多く全体的に西高東低の傾向が際立っている。 ・・・もっと見る
後期高齢者(長寿)医療制度の存亡(下)
~「上限6000円」でどこまでの医療が可能か?データを示した上で国民目線の議論を~
さて前回の原稿で仮に政権交代が実現した場合の「後期高齢者医療制度」(長寿医療制度に名称変更を検討)の行く末に関して、中医協のメンバー等、様々な有識者・医療関係者の意見を紹介させていただいたが、唐突に7月21日国会が解散され、「選挙戦」に突入した。未定だった総選挙も8月30日に決定し、各政党はマニフェスト作成を急ぐ現段階である。 ・・・もっと見る